2017年3月4日土曜日

赤いピアスの行方 後編



「自分らしさ」をアクセサリーにする
Craft Creator ささきまちこです。

さて、前回のブログ「赤いピアスの行方 前編」で、
赤いピアスを作ることを勝手に自身のMissionに設定した、
アクセサリー作家は、どんなふうに赤いピアスを作ったのか?

MISSION

コミック「SEX」に出てくる赤いピアスを忠実に再現する。



完成イメージはもちろん、コミックの中のこのピアス。
これを忠実に再現します。



参照元:上條淳士「SEX」第2巻 39ページ 小学館



そうとなれば、まずはピアスの素材を揃えます。


ピアスの金具部分と赤い石。
この二つさえ揃えば作れます。

ピアスの金具部分は大体の形や素材が絞られます。


肝心なのは、赤い石の部分のなのです。


ピアス完成後に知ったのですが(笑)
上條先生のTwitterによれば、赤い石はガーネットとのこと。


上條先生がそんなTweetしていたなんて、全く知らずにいた私は、
ルビー、ガーネット、レッドスピネル、ピンクトルマリン・・・
考えられる限りの素材をリストアップし、
仕入れ先を数件、調べたり、
親切にしてくださる所にはメールで問い合わせをしてみたりしました。


イラストから赤い石の形を推測するに、


おそらく4mmサイズのラウンド(球体)のプレーン(カット無し)。
片穴でピアス芯を刺して接着するタイプ。








こんな風な石が多い。
市場にはラウンドで綺麗な石ってすごく少ない。
ってほとんどない。

大体、綺麗な石はラウンドカットやブリリアントカットになってしまう。
仕方なくそこは、流通量が比較的多く、透明感のある品質もよくみかける、
ラウンドカボション(半球体)に方向転換。




あとは、石の色・透明感。


どうしても天然石クラスになると、石の品質は落ちてしまう。
クラック(内傷)や内包物(不純物)、発色不良など、
そもそも、「宝石になれない階級の身分の石」が天然石のくくりなのです。

しかも、コミックの中では小学生のころに
カホ・ナツはピアスをつける設定なので、
宝石ランクの高額なピアスは小学生には買えないよね。

・・・と考えると、やっぱり天然石かなと、
石探しでぐるぐる回り続ける私。


途中、ドラゴンブレスというヴィンテージグラスも考えました。
形、色、透明感などちょうどよい素材が見つかって、
ひゃっほーい!と喜んだのもつかの間、
在庫を確認してみたら、在庫1個。

物語の中では2個で1ペア、存在する設定なので
ホントに片耳分だけになるのはちょっと違うな~
ってことであきらめました。


予想外に難航する「赤い石」探し


そして、次に選んだ素材は、
キュービックジルコニアなどの人工石・合成石。
小学生だから高価な輝きよりも、
こういう均一的な輝きの方があっているんじゃないかという、
私個人の推測であります。


この時点で「実はガーネットだよ」ってことはまだ知らないのです。


素材の選択肢に天然石のほか、キュービックジルコニア、合成石も入れ、
再度、仕入れ先を探したり、問合わせをしていきます。


自分が運営しているアクセサリーの店名が、
天然石のHumming Bird」ということもあり、
日頃、天然石だけの素材を使うというこだわりがあります。

だからこそ「素材は天然石じゃなきゃダメ!」という
固定観念に縛られていたのです。

今回は素材が天然かどうかよりも、
イメージ通りのピアスを再現することが目的なんだと、
何度か、軌道修正しながらの作業でした。





今回の最終決定の素材が決定。


赤いキュービックジルコニアでほどよい4mmサイズのラウンドカボション。
今回は、最終的にこれを仕入れました。

日頃、あまりお取引したことがないお店でしたが、
キュービックジルコニアや合成石の取り扱いが種類豊富なお店で、
ちょうどよい形・透明感・発色の石を仕入れることができました!

『おう!こんなお店があったんだ!嬉しい発見~』
新しい仕入れ先の探索もできたので、内心嬉しかったです。




石が決まれば、それに合わせた形と素材。
ピアスの芯は14KGF製で。
比較的、アクセサリーの素材として普及してきた素材です。
上品なゴールドカラーなので、肌に馴染みもよく
カホにもナツにも似合うでしょう。

素材の到着を待つこと1週間。
ちょっと期待に胸弾む一週間。


素材が揃ったら、ピアス芯と石を接着します。



素材が揃うと完成まで早いですね。
なんてと言ってもピアス、単純な構造ですから、
これ以上、時間の掛けようがないわけです。


さらに手間をかけるなら、接着に使う接着剤の種類くらいでしょうか。


今回は接着面が非常に狭いので接着樹脂にしました。
瞬間接着剤は、接着面が狭いと強度に問題が出ることや、
肌に影響があるので却下です。

ピアスなどアクセサリーは直接、肌に触れるもの。
皮膚に安全な素材を選ぶ。
これ、非常に大切な部分ですね。



14KGF製のピアス芯も、金メッキと比較すると
金メッキの層が厚いので剝げにくく、
金属アレルギーが起こりにくいと考えられる素材ですから、
少しだけ「肌に優しい」を叶えてくれます。

と、言っても既に金属アレルギーを発症している方には、
無意味です。使わないでください。
金属アレルギーを治癒する効能はありませんから、
くれぐれも誤解なきよう、お願いいたします。



制作の一コマ




きゅんきゅん、透明感のあるキュッチュな赤が可愛い。


写真はアップなので大きく見ますが、実物は本当に小さいです。


こんなスリムケースに入れてみました。さらにカッコよくなります。


赤い石のピアスが完成~



最初、ピアスを作ろうと考えたとき、心のどこかでは、
『今ならこのピアス、作れんじゃね?』という自負もあったんですね。
甘いですね、甘ちゃんですね、私(笑)

いざ、ピアスを作ろうとしてみたら、
うまくいかないことも予想以上に多くて、
いくつか妥協しなきゃいけないことにぶち当たりました。

正直、非常に悔しいです・・・
なんで思うようにピアスが作れないんだろう。

ひとまず完成しましたが、先述したとおり、
赤い石の種類・形を妥協した結果なので、
これからも「カホのピアス」のイメージにより忠実なピアスを制作すべく、

赤い石を探す旅は続きます。

今度こそガーネットでねw


何か進展がありましたら、
TweetやFacebookなどSNSでご報告しますね。

フォロー大歓迎です。



さて、なんとかピアス完成・・・そしたらね、
やっぱりTweetしてみんなに見てほしいですよね。
私の願いが叶うなら、上條先生にもご覧いただきたいですよね。

もちろんTweetします。しないわけなじゃないですか(笑)






そしたらですよ、まさかまさかの!!
上條先生からの直々のコンタクトがあったのです。
メッセージとRTをいただいて、もう、私は幸せ者です!!


私の願い事が叶っちゃった・・・


とても丁寧で温かいお言葉を頂戴して、深く深く感激!!
というか、むしろこれって本当のことなのか、
今だに夢見心地の気分でふわっふわしているのです。

それから、こんな私のTweetにいろんな方から、
いいねとかRTをたくさんいただきました!
本当にありがとうございました。

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ピアスが完成してから2,3日、
ずっと胸がドキドキしているの。

中学生の頃に憧れの先輩を遠くから見ていたら、
「おーい!」って手を振ってもらえたみたいな。

・・・いや、中学生の時はそんな先輩いなかったけどw
やっぱり丁寧で紳士的な男性っていいわ💛

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上條先生って本当に素敵な方です・・・!


そして、完成したピアスを目の前に、次はどうするものかと考える。


アクセサリーを制作して販売するお仕事柄、
普通にネットショップで販売しようと考えます。
もう、これ私の日常。

でもね、考えてみてください。

私が販売できるのは、ただの「赤い石のピアス」なわけです。
「カホのピアス」や「ナツのピアス」としては販売できない。

これは当たり前ですよね。
上條先生が作り出した物語の中のピアスですから、
私が下手なことをしてしまうと、
簡単に上條先生の著作権を侵害してしまう。


でも、私も友人T氏もふたりともピアス穴が空いていないから、
ピアスつけられない。

じゃぁなんで「ピアス、作ってよ」って依頼したのかってことになりますが、
「ピアス、作ってほしい」っていう願い、
これは「SEX」読者の長年の願いでもあるんです。


どっかに「カホの赤いピアス」は存在しているんじゃないか。
その願いを叶えたいと思ったのは、私自身ですから、
作るだけである意味、目的は達成されたのです。

・・・で、ピアスはどうするの?って疑問に戻りますが、





話は簡単です。

作ったピアス、全部を上條先生にプレゼントしよう!



だってほら「SEX」の世界を作った上條先生に、
その世界から生まれたピアスをお返ししたほうがいいんじゃないか。
それが一番、誰も安心して嬉しいだろうと思ったんです。

最小ロットでピアス5本を作れたので、
ピアス5本を作って、全部、そう全部!
そして、先生に承諾をいただいてもう送っちゃいました。
やると決めたら、すぐにやる子なんです!


もうすでに、上條先生のお手元に到着したとのこと。
突然の私の無理やりなプレゼント作戦、
快く受け入れてくださり、本当にありがとうございました。

あとは、上條先生に託します!
・・・なんて他力本願でしょう私(笑)
本当にごめんなさい。
そして、ありがとうございます。



ひとまず、「赤いピアスの行方」(前編・後編)はおしまい。
続きがあったら、またブログに書きますね。

ではまた~


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ネットショップのご案内





公式Facebookページもありますよ。

Facebookページ 天然石のHumming Bird

Facebookページ Salvage Craft Works


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最後まで読んでくれてありがとう。


今後も上條淳士先生のご活躍を心からお祈りしております。



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